Side of the Ecstasy Onsen Vol.1


湿った唇は柔らかい。
昨日までの無理続きで荒れてたのも、治ってる。

まつげや、髪の先に、風に冷やされた湯気が雫を結んで、
上気した頬や目尻を、ひっきりなしに伝う。

長湯で、端がとろけたような顔は、夜の緩やかな勾配の時間を越える途中のときに、

見せる顔とよく似ている。


…まだ、慣れない八戒の身体を、なだめながら、

ゆっくりと、押し入っていくとき、

一つになっている、今、俺達は繋がっている、と、いう思いが、俺の胸に食い込む。

「…もう、動いて、いい?」

尋ねる声はいつも掠れていて、ざまないな、と顔が火照る。

やっと薄く眼を開けて、頷くお前の頬は濡れている。

生理的な涙だとわかってるんだけど、…切ない。

いとおしい。

できるだけ長く、このまま、

繋がって、痛い程、八戒を感じていたくて、八戒に感じていて欲しい。

こみ上げる気持ちに、衝き動かされる。

昇り詰めそうになる八戒自身を堰き止めて、自分も堪える。

エゴなんだ。判ってる。

八戒の身体の深みを、ひたすら目指してる自分の動きは、

もう、八戒を労る余裕はなくて。

俺の出発した感情を見失わないでいて欲しいなんて、勝手な話。

だけど、溺れた人間みたいに、首から腕を離さないでいる、

八戒は、唇を合わせると、やっと少し、だらしなく、微笑う。

その顔は俺を許してる。全てを。

強張りきった肩が僅かに緩むのに、内部はきゅうっと、絡みついてくる。

一瞬の、インターバルの後、もう、放出の快感は確実に俺達を捕えてしまう。

好きだ、という、きれぎれな呟きは、もつれ合って、汗に溶ける。

…もちろん、それで終わる筈はない。

泥のような眠りに陥ちるまで、何度も繰り返す。



「あつ…い」

八戒が、焦れたように身をよじって、キスから逃れた。

気がつくと、俺は膝の上に八戒を抱え込んでいた。

勃ち上がったお互いのものが、擦れ合って、

長湯にほぐれた体に重くまとわりつく、鈍い快感。

「やりたくねぇ?すっげ、欲しい…」

「…ここはまずいです」

「部屋、戻ろ」


もっと続く(本文どこかから飛べます)

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この後お部屋で、ご飯の前にちょと頑張る予定。