つめたい夜に。

もっと冷たいあなたの指先。

「寒いですか?」

私の指先は、スタンドの電球に押し付けられる。

弱い光でも、ガラスは熱かった。

何も塗っていない爪は

血のいろを透かせて

桜色に、灯を点したように見える。

「きれいですね」

「蛍みたい?」

漸く、薄い唇が、笑みの形に綻ぶ。

ときに、あなたの扉は

こんなにも重い。

私も、泣くかわりに笑顔をつくる。

さしのべあう腕は、救命具にも似て

流されながら

かろうじて沈まずに朝を迎える

私たち。


MindAtlas のkyoco様の八戒BD記念TOPを(また)おねだりして頂きました。
まだサイトをやるなんて思ってもいなかった頃書いた上記の文、自分ではドリームみたいな感じだったんですが、
見せた人に花喃だって言われて、そういえばそうかも…と、ここに添えてみました。
(誕生日イラなのに暗くてごめんなさい…)