Shangri‐la
(…綺麗、だな)
キスの最中、緩慢に逃げをうつ、あいつの舌が僅かに、動きを止めた。
そんなときは大概何か、企んでる。
…キスには弱い筈だけど。
耐性できてきちまった?
ゆっくりと目を開くと、碧の瞳にぶつかった。
なんか野菜とかよく食ってるからかな。
白眼のとこもすごく澄んでる。
一杯に見開かれた虹彩とか、
そんなにみっしりしてないけど長くて反った睫とか。
最初に唇を合わせた後、一度必ず顔を見る。
伏せ気味の、青みがかった瞼の下に、
緩く上昇していく熱を確認したくて。
そのときより近い。
近すぎてぼやけそうな位。
瞬きを忘れたように乾いてるのに、泣きそうに見える。
そっか。
濡れるのって口だけじゃねぇな。
…外から見えるとこで。
俺、ここにいるだろ?
大丈夫。
もう一度キスしよう。
何度でも。
いつまでも。
Fin
最大級かっこいい悟浄を書きたかったのですが…