Kiss(いきなり天国)

キスをする時、身体を重ね合わせるよりも心拍数が上がってしまう。

悟浄が僕の中に入り込んで深く深く繋がっているのとはまた、別の次元で。

心が、どこかへ飛んでいきそうになる。

親指でなぞられただけでも。

口唇同士を、軽く触れ合わせるだけでも。

どろどろに溶け合ってしまいそうな深いキスも。

きつく舌を吸われて、痛いくらいのキスも。


少し荒れた口唇。

絡まる長い舌。

はちみつのような唾液。


キスの最中、悟浄はどんな表情をしているのだろう。

一度、目を開いてそっと見てみた事がある。

悟浄は目を瞑っていたけれど、ゆっくりと目を開いた瞬間、僕はその視線にぶつかってしまった。

きっとまた僕の事をからかうんだろう、と思って逸らそうとしたけれど、

悟浄はそのまま、優しい眼差しで僕の言葉をさらった。


悟浄は必ず最初に、そっと口唇を重ねるだけのキスをする。

一度離して、確認するように僕の瞳を見つめる。

悟浄の吐息と僕の溜め息が、混じり合うくらいのごく近い距離で。

そして再び口唇を重ね、やがて歯列を割って中に入り込んでくる。

触れないところは無いってぐらいに、僕の口腔をくまなく蹂躙する。

わざと口唇を離して舌先だけで遊んだり、舌の根元まで絡めてきつく吸い上げたり。

舌で歯の裏をひたすらなぞったり、口唇を食んだり。

僕の小さな喘ぎ声さえ、聞き逃さない。


身体中の神経は麻痺しているのに、身体の奥からじわじわと、

得体の知れない甘い感情がせり上がってくる。


…それはまるで、冒された熱病の中放り出された天国のような心地。




「UPGD」様とリンク記念に強請って掲載させて頂きました。
この短編は読み返す度に、果実に歯を当てたときの飛沫のようなもので、胸が一杯になるんです。
初めて読んだとき思わず速攻でアンサーを書いてしまいました。
このページのどこかにリンクがあるので物好きな方はお探し下さい。





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