「おらおらおら兄さん方が出てくる前に舞台の掃除じゃああ!」
「ひいいいいお助けぇえええ!」
それはまるで青い稲妻のようにわたくしの心を貫いた光景でした
(目撃したYさん(仮名)・主婦・24歳 談)
確か逆さレゲエはモップに似てるけど
父親を逆さに掴んでモップにするってどうなのよ!
(観客全員の声なきツッコミ)
頭頂部からかすかに煙を出している父親を放り出すと、
ナタクは客席に向きなおった。
(やべぇよこいつ眼据わってるよ…)
「あぁーなんでこんなことに…」
舞台袖で幕の端を噛んで涙ぐむ清の肩がぽんと叩かれた。
「やっぱフルーツ牛乳ハイじゃねぇ?」
「ああっ居酒屋の何もしないと評判の女将じゃなくて
とっつき薩夫さん!
何ですかそのフルーツ牛乳ハイって!ハイって!」
「なななにをしたんですあなた」
「あなたは四郎次郎さん(説明的台詞)!」
「いーじゃねぇかなんか起こったって浴場(ココ)の責任になんだろ、
店じゃ一応遠慮してんだからたまには発散させろや。
北国名産ドラキュラの葡萄酒をちょびっと混ぜてやったのさ〜♪」
「まさか自販の商品全部に…?」
「もちのろーん!」
回収回収!と清は舞台のことはアウトオブ眼中で、
脱衣所の出口の自販機にダッシュした。
「いいかぁ…アホばっかのこの町内で、
どいつが一番アホンだらか、俺様が決めてやらぁ!
じゃあおっぱじめるぜ!
笑う風呂屋の冒険!」
ここで解説しよう。
ここでナタクがおっぱじめようというのは
某日曜8時の番組でやっていた山手線ゲームのような遊びである。
元ネタは、機関車○ー○○の格好をした回答者のなかで、
信号の色がわからないおばかさんを決定し
カラシだのタバスコだのを顔に塗りたくるというベタな代物だった。
ルールは単純で、
5人だか4人だかの回答者が、
仕切りをする者が出す三つの色のものを答えていって
最初に三つミスったら負け。
同じ色の出題に同じものを言っても、
人が言ったものを答えてもいいが、
同じ色を三回繰り返した出題のときだけは、
別々のものを言わなければならない。
一応パンパン手を叩きながら答えるので、
テンポ外してもミスになる。
例:緑・緑・赤 ピーマン・ピーマン・トマト
黒・黄色・青 海苔・からし・空
白・白・白 雪・砂糖・塩
イメージが微妙なもの(例:「白」で「ハンカチ」など)は
全員で協議(というかその場のノリ)で決定されるが、
流れを止めれば大体ダメである。
解説終わり。
「そこの眼鏡と…隣のでけえのと…赤い頭のにーちゃんと、隣のきーろいのと…
後ろの、今眼ぇ合わないようにしやがった緑の眼の!
とっととこっちに上がってきやがれ!」
「ぼ、僕はただ見物しに来ただけで…」
「まぁまぁ、こうなったら腹くくって行こうぜ、クロハチナマコのお兄さん」
まだネタに入れない!
もう少し続きますすいません…
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