「ねっ悟浄さん。仲良いですねぇ階下のお二人。」

「天然ボケだしなぁ(笑)良い味でてるよ、全く。」

「はい流しますよ。いいですか?」

「あっサンキュ。」

悟浄さんの背中...肩甲骨あたりが妙にセクシーなんですが。

はっ何を考えてるんでしょ、ボク。

「ねぇ、お兄さんこれからヒマ?」

「はっはい。別に何もありませんが。」

「うち来て一杯やらない?いけるんでしょ、お兄さんは。」

「ええ、まぁ会社で鍛えられてますから。」

「三蔵もいないしさ、パーッとやろうぜ(笑)」

「そんなパーッとだなんて...」

純情な勤労好青年の脳裏に薔薇色のパラダイス銀河が広がった。

「シャカリキコロンブス.....」

「えっ?なんか言った?」

「いぇ、おまじないみたいなものですよ(笑)」

「お兄さん真面目な顔して結構変かも(笑)さっ、もう一丁あったまってこよ♪」

いいなぁ、悟浄さんは...

いつも元気で笑顔が素敵で。大家さんも誉めてましたよね。

”今度うちの来た悟浄さんのおかげで、雑草取りが楽になったし

私に付き合って大工仕事もしてくれるし助かるんですよ”って。

そんな悟浄さんが誘ってくれるなんて、よっぽどヒマそうな顔してたんでしょうか、ボク。

「ねぇ〜、身体冷えちゃうよ。お兄さんも入れば?俺もぅ200数えた(笑)」

「そうですね。」

「ねぇ、お兄さん。ちょっと聞いてもいい?」

「はい?」

「それ、痛くない?スゴイ傷だけど。」

「ああ、これですか?古傷だから大丈夫ですよ。ちょっとグロくて見ちゃうでしょ?」

「うっ、うん。気になる。」

「実はこれ...いえ、悟浄さんの家に行ってからお話します。」

「あっ、ごめんな。変なこと聞いて。」

「いえ、いいんですよ。こんなの見たら誰でも気になりますって。」

湯船で身体を温めて二人は身支度を整えた。

「じゃぁな!チンさん。」

「寒いですから湯冷めしないように。はい、これ我からお裾分けです。」

「なに?おっ日本酒じゃん。」

「実は親戚の老舗造り酒屋から何本か送ってきまして。大吟醸美少年ごろしです。」

「高そうなのにいいの?」

「いいんですよ。この前のビールのお礼です、ククク。」

「じゃ遠慮なく。」

「じゃまた来ますね。清さん。」

「はい、ナマコさんも襲われないように♪」

「チンさん!何言ってんだよっ!」

「ククク、冗談ですってば。はい、いらっしゃいませ!今日はカモミール湯ですよ。」

外はすっかり冷え込んでいた。

「寒いから、58でおでん買っていこうか?」

「いいですね。僕はタマゴと大根と....」

「よし!走るぜ!」

子供のような笑顔で走る悟浄が八戒には眩しかった。

つられて走っている自分が可笑しかった。

58でおでんとビールを買い込むと、ロイヤルシャトーはすぐそこに。

「どぞ、狭い部屋だけど。つっても俺の部屋じゃないけどな(笑)
あっ、そういえば俺のお客さん入れるの初めてだなぁ。」

「本当に光栄です(笑)遠慮なくお邪魔します。おや?可愛いサボテンが。」

「あっ、それ。セバスチャン2号って言うんだ。1号は俺が逝かせちゃってさ。」

「知ってますか?悟浄さん。サボテンって話しかけるとわかるって。」

「知らないけど...。そういや三蔵が毎日ブツブツそいつに言ってるぜ。」

「玄奘さんはご存知なんでしょうね。」

「あいつ、変な趣味あるからなぁ。ゲートボールなんてその辺のジジイよりうまいぜ。」

「玄奘さんちょっと浮世離れしていて掴み所のない方ですよね。内緒ですけどっ。」

「俺もそう思うぜ(笑)さて初めよっか。こっち座れば。」

「はい。冷めないうちに頂きましょう。」

「そだな。じゃまずビールで乾杯しよ。」

「何に乾杯しましょうか?」

「ナマコのお兄さんと俺の明るい未来に!」

「かんぱ〜〜い。」

「うめぇ〜。明日休みでしょ。沢山のも。おでんにはやっぱ美少年ごろしでしょ(笑)」

上機嫌で飲み始めた二人は和気藹々で、酒量も次第に増えていくのであった。

「あっそーだ。お兄さん、気になる傷の事教えてよ。」

「いいですよ。心の準備はいいですか!」

「いいですよぉ〜。」

「あれは3年前の秋のことでした。当時僕は、ある独立王国で
住み込みで働いていたんです。あの犬とか猫とか牛とか豚とか山ほどいる所なんですが...
そこで動物の世話なんかやっていたわけですよ。で、たまたま休みの日にですね、
国王のウツジロウさん達と、近くの山に茸採りに行ったんです。夢中で採っていると
草陰から、ごそっと物音がして出てきたんです....。」

「なっ何が?」

「熊です。」

「!」

「ウツさんが人類皆兄弟。慌てない慌てない、死んだふり、死んだふりって言うから」

「まじ?」

「マジですよ(泣)僕が死んだふりしている所に興味本位のその熊が来て
 あの太い腕でバシッっと」
 
「バシっと!」

「ここんとこ引っ掻いてくれまして...腸まで出るかと思いましたよ。」

「で、ウツさん達は?」

「僕がやられている隙に逃げちゃいまして....その熊は意外と執着心がなくて
無抵抗にしていた僕を置いて、山に帰ったみたいなんですが。
僕それ以来ちょっと人間不信に陥りまして、凄く暗くなっていたんです。」

「置き去りになって自力で帰ってきたの?」

「いえ、運良く茸採りに来ていたご夫婦が見つけてくれて病院に。置き去りにされたことは
見舞い金という名目の裏金で、もみ消されましたよ(笑)」

「へぇ悪い奴だな。ウツジロウ。」

「まぁ恨んでもしょうがありませんし、もう忘れていた過去ですから。」

「ほんとっ悪いこと思い出させてしまって.....ごめんな。」

「いいんですよ。悟浄さんにはなんか話して置きたかったから。
貴方みたいになりたいって時々思うんです、僕。」

「俺みたいに?」

「ええ。頼り甲斐があって明るくてその場が和むような。」

「そっか?照れるぜ。へへ。今日泊まってく?」

「朝まで飲みますか?」

「うん、勿論。」

「ねぇ、ちょっと見せて傷。」

「いいですよ。」

「痛かったよなぁ.....」

「あはっ、悟浄さん。くすぐったいですよ。」

最近涙もろい悟浄はすっかり八戒に同情し、傷口をさすりながら
男泣きしているのであった。

人情家沙悟浄さん(22)独身 bykyoco菩薩

「あ〜も〜頼むよ。これ以上お兄さんに悪いこと起きませんように!」

「大丈夫ですよ。この街は僕に優しいですから。悟浄さんも頑張って下さいね。
下賎の湯お笑い祭り!」

「あ”〜〜〜〜〜〜〜〜!」

すっかり、まったり忘れていたが、そもそも悟浄がこの部屋に越してきた理由は、
三蔵を嫁にする訳でも、八戒を泊めてイチャつく訳でもなんでもなく、
一お笑い芸人を目指して修行をすることにあったのだと.....。

「お兄さん、生活密着型のネタあったら振ってくんない?」

「急には出ません(笑)。」


こうして悟浄と八戒は、文字通り腹を割った話ですっかり打ち解け
この後も親友として付き合いは続くのであった。

 

End

 


キューポン企画第二弾はkyocoさんちとうちでダブル踏み踏みしたチキさんより

「瓢箪屋とマイアトの共演で爆笑道クロハチナマコのお兄さんロジスティック物語り」

と、言う訳で物流とはなんにも関係ない話ですが(笑)勤務は物流!

毎回細かい打ち合わせなどしないのですが、妙にツボ付く絵を描いてくれる

官能菩薩kyoco様。所長夫妻のあの笑顔ぜひ夫婦漫才やらせなければ!

でもどっちもボケボケじゃないか!(笑)ネプみたいだな。名●役さがそーか。

この作業を進めるうち「ヤヴァイ本編なんとかせねーば」という

脅迫観念にかられました(笑)本編書く前にどーしてももう1発あげたいネタがあるんじゃけぇ。

焔と清の「お笑い祭り序章」←こういうのばっか沸いているので進まないのだよ!おっほん。

みなさま見捨てないでくだたいvちゃんと書くですよぉ〜〜〜〜〜。あぽんv

 (by伊豆様)

 

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チキ@Getter:
瓢箪屋敷様でほどよくキリの良い数字をキューポンとして
(ゴリ押しで)
認定して頂き地道にため込んだ挙句、
MindAtlas様で踏んだキリとコラボって頂こうという贅沢な願いが
こんなにステッキーなお話豪華挿絵付になりました!
こいつは春から縁起がいいわぇ〜v
また狙いますのでよろしく!

追伸:名●は新人のザクロ君はいかがでしょ。
マンガで空振っていたツッコミを修行して頂きたい。

伊豆様kyoco様ありがとうございました!